naoko_note
ラベル
宮沢賢治
の投稿を表示しています。
すべての投稿を表示
ラベル
宮沢賢治
の投稿を表示しています。
すべての投稿を表示
2024年6月10日月曜日
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』__「牛」というモチーフ__届かない牛乳とカムパネルラの死
›
ジョバンニとカムパネルラを乗せた銀河鉄道の汽車は、白い十字架を通り過ぎた後、白鳥の停車場に「十一時かっきりに」着く。停車場の時計に二十分停車」と書いてあって、乗客はみな降りてしまう。二人も飛ぶようにして降りて、天の川の河原に来ると、「プリオシン海岸」という標識が立った白い岩が川...
2024年6月2日日曜日
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』___十字架と苹果の旅__白い十字架
›
『銀河鉄道の夜』に限らず宮沢賢治の作品を読んで、「自己犠牲」をテーマに論じる読者が多い。以前私自身も「ケンタウルス、牛殺し_生の軛」というタイトルでこの作品について書いたとき、カムパネルラの死を「自己犠牲でなく犠牲」として論じた。烏瓜でつくった灯籠を川にながし、「星祭り」という...
2024年5月23日木曜日
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』__カムパネルラという存在とその消失の意味するもの__「母」のゆるしと「ほんたうの幸い」
›
『銀河鉄道の夜』について、以前「ケンタウルスー牛殺しー生の軛」というタイトルで投稿した。そこで繰り広げたテーマは核心の一部をついていた、という自負はないではないが、この複雑で重層的な作品のより重要な部分を取り残してと感じるもどかしさがあって、それが何か、言葉につむぎだせにまま...
2023年12月14日木曜日
宮沢賢治『北守将軍と三人兄弟の医者』__凱旋将軍の最期
›
賢治の童話中数少ない完成された作品で、一九三一年雑誌「児童文学」に発表されたものである。この作品の初稿とみられる『三人兄弟の医者と北守将軍』という童話も活字化されていて、こちらはおそらく一九二〇年までに書かれたものだといわれている。岩波文庫版でわずか十頁の短編が、推敲を重ねら...
2023年7月30日日曜日
宮澤賢治『飢餓陣営』__国家の超克とキリスト教への接近__オペレッタで語る極限状況
›
宮澤賢治『飢餓陣営』について、いつまでも考えている。 「コミック オペレット」と注がついた一幕物の戯曲である。主人公の名をとって「バナナン大将」という題名のものが一九二二年六月に作られ、翌一九二三年五月、花巻農学校が県立となった開校式の日に上演された。賢治は当時この農学校の...
2023年3月18日土曜日
宮澤賢治『氷河鼠の毛皮』__中途半端な革命譚__タイチと黒狐、氷河鼠
›
タイチという金満家の男が、ベーリング(島?海?)をめざす列車の中で暴漢に襲われるが、船乗りの若者に救われる。稀少毛皮を外套にして幾重にも身にまとっていたことが、人だか熊だか判然としない暴漢たちに襲われた理由である。宗教学者の中沢新一は、『緑の資本主義』という著作の中でこの作品...
2022年12月18日日曜日
宮澤賢治『風の又三郎』__最後に残る二つの謎__高田三郎と宮澤賢治
›
この後の月曜日、一郎と嘉助が嵐の中登校して、三郎が転校したことを告げられる。嘉助は先生に挨拶するとすぐ、「先生、又三郎きょう來るのすか。」ときいている。先生が告げるまでもなく、もう三郎は来ないことを嘉助も一郎も知っているのだ。 九月一日に現れて、(おそらく)十一日に去って行...
2022年12月16日金曜日
宮澤賢治『風の又三郎』__高田三郎はいかにして鬼になったか
›
三郎と子どもたちが葡萄と栗を交換したエピソードの次に語られるのは、少し複雑で難解な出来事である。 「次の日は霧がじめじめ降って学校のうしろの山もぼんやりしか見えませんでした。ところが今日も二時間目からだんだん晴れてまもなく空はまっ青になり、日はかんかん照って、お午になって一...
2022年12月4日日曜日
宮澤賢治『風の又三郎』__葡萄と栗を交換する
›
『風の又三郎』後半は、逃げた馬を追って彷徨した嘉助が、臨死体験のなかで「風の又三郎」を見た上の野原の出来事の後 「次の日は朝のうちは雨でしたが、二時間目からだんだん明るくなって三時間目の終わりの十分休みにはとうとうすっかりやみ、あちこちに削ったような青ぞらもできて、その下を...
2022年10月19日水曜日
宮澤賢治『風の又三郎』__誰が風の又三郎を見たか
›
又三郎を見たのは嘉助である。「ガラスのマントを着て、ガラスの靴をはき」「小さなくちびるを強そうにきっと結んだまま、黙って空を見て」いて、「いきなり」「ひらっとそらへ飛びあが」った又三郎を見たのは、嘉助である。谷川の岸にある小さな学校の小学五年生の嘉助だけが風の又三郎を見たのだ...
2022年8月24日水曜日
宮澤賢治『注文の多い料理店』シベリア出兵のナインストーリー__「水仙月の四日」__北の雪嵐大作戦とやどりぎ
›
『注文の多い料理店』中「からすの北斗七星」に次いで五番目の作品で、春間近の北国を襲う雪嵐を描いた短編である。 「雪婆んごは遠くへ出かけておりました。」と始まるこの童話は擬人法で語られている。雪婆んごとその指揮下にある四人の雪童子、雪童子の手下となって獅子奮迅の働きをする十一...
2022年8月10日水曜日
宮澤賢治『注文の多い料理店』シベリア出兵のナインストーリーズ__「狼森と笊森、盗人森」__入植と侵略のユートピア
›
『注文の多い料理店』第二話の短編である。狼森、笊森、盗人森はいずれも実在する黒いまつの森で、小岩井農場の北にあるという。自然と人間の交流を描いた作品として評価する論者が多いようだが、はたして、そのような牧歌的鑑賞にとどまってよいのだろうか。 森と人間の歴史を語るのは、笊森と盗...
2022年6月23日木曜日
宮沢賢治『注文の多い料理店』______シベリア出兵のナインストーリーズ__「かしわばやしの夜」の謎
›
岩手大学名誉教授の米地文夫氏に「宮沢賢治「月夜のでんしんばしら」とシベリア出兵」という論文がある。「啄木短歌・「カルメン」「戦争と平和」との関係を探る」と副題のついた精緻で素晴らしい論文である。米地氏は『注文の多い料理店』におさめられた作品中この「月夜のでんしんばしら」と「烏...
2019年8月28日水曜日
宮沢賢治『グスコーブドリの伝記』_九十年前のジオ・エンジニアリング
›
地球温暖化の議論、異常気象などここ数年地球環境の異常さが人類生存の深刻な危機として問題になっている。自然の猛威の前に文明は何をなし得るか。九十年前にその課題に挑んだ人間の軌跡として『グスコーブドリの伝記』を取り上げてみたい。 前回のブログで書いたように、この作品も相次ぐ冷...
2019年8月20日火曜日
宮沢賢治『ペンネンネン・ネネムの伝記』__ばけもの社会のMMT
›
『グスコーブドリの伝記』について調べていくうちに、『ペンネンネンネン・ネネムの伝記』という作品に出会った。『ペンネンネンネン・ネネムの伝記』と呼ばれる草稿に手を加えて完成したものが『グスコーブドリの伝記』であるとされている。たしかに、この二つの作品は、冷害と飢餓のため両親が自死...
2019年7月15日月曜日
宮沢賢治『どんぐりと山猫』__かねた一郎と黄金いろの草地
›
『どんぐりと山猫』は、私にとって謎に満ちた作品である。いつまで経っても解決の糸口さえ見いだせなくて、ここしばらく作品の周りを行ったり来たりしている。 不思議なお話はこう始まる。 おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。 かねた一郎さま 九...
2019年6月28日金曜日
宮沢賢治『山男の四月』__「山男」とは誰か
›
標題の作品は賢治が生前に出版した『注文の多い料理店』の巻頭を飾る短編である。最初『山男の四月』というタイトルで出版を考えていたともいわれる。短編だが含蓄の深い作品であり、賢治の作品の中でも重要な意味をもつと思われるのだが、論考の対象となることが少ないのが不思議である。まったくな...
2 件のコメント:
2019年5月12日日曜日
宮沢賢治『ポラーノの広場』__山猫博士とレオーノキューストの社会学的考察
›
『ポラーノの広場』の中で、一番魅力的かつ重要な人物は、じつは山猫博士と呼ばれるデストゥパーゴではないだろうか。『ポラーノの広場』で連日酒宴を催し、本気とも酔狂ともつかぬ決闘騒ぎを起こした後、忽然と姿をくらましてしまう。山猫博士とキューストたちの出会いがなかったら、そして、彼...
2019年4月23日火曜日
宮沢賢治『ポラーノの広場』__つめくさの花と聖パトリックの生涯
›
その青じろいあかりが「つめくさのあかし」と呼ばれるつめくさの花のモチーフは「『ポラーノの広場』という作品の中で唯一の童話的要素である。「レオーノキュースト誌/宮沢賢治訳述」と冒頭に記される『ポラーノの広場』は、レオーノキューストの自分史ともいうべき小説である。この小説の中で、...
2019年3月30日土曜日
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』__ケンタウルス_牛殺し_生の軛
›
『銀河鉄道の夜』については、多くの分析や論評がなされていて、いま私のような賢治初心者があらたにいうこともないのだが、初心者なりに気が付いたことを少しだけ書いてみたい。 この作品も生前活字になったものではないので、決定稿がないのだが、物語が始まるのは、主人公ジョバンニの町の...
›
ホーム
ウェブ バージョンを表示