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2018年5月14日月曜日

大佛次郎と小津安二郎の『宗方姉妹』__消された「戦争」

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 インターネットで『宗方姉妹』と検索すると、ほとんどすべて小津安二郎監督の映画がヒットする。大仏次郎の原作について書かれたものはほとんどない。一九五〇年に初版が出て、その後二社から文庫本も出ているのに、なぜかいまは忘れ去られた存在のようである。原作は一九四九年六月から十二月にかけ...
2018年4月3日火曜日

小津安二郎『秋刀魚の味』___秋刀魚の味と「秋刀魚の歌」

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 小津安二郎の映画のタイトルは不思議なものが多い。『早春』という映画のタイトルがなぜ「早春」なのか、いまだにわからない。季節は真夏のようである。蚊取り線香が焚かれる画面から真夏の熱気が伝わってこないのが不思議だが。  『秋刀魚の味』も何故このタイトルなのか、ずっとわからなかっ...
2018年3月24日土曜日

小津安二郎『東京暮色』__前稿の訂正と補筆__再び「父と子」について

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 最初の稿で、杉山周吉の家の玄関前にイチジクの鉢植えがある、としたのだが、イチジクではなくヤツデだったようである。イチジクは落葉樹なので、雪の降る季節に葉を茂らせているわけはない。「千客万来」をもたらすとされるヤツデはよく玄関前に植えられるそうなので、ヤツデの木があるるのはとくに...
2018年3月14日水曜日

小津安二郎『東京暮色』__母の背負う十字架

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 最初に私は「これは父子家庭の物語である」と書いた。だが、同時に、これは「母の物語」である。母と子ではなくて、「母と女」の物語だ。あるいは「母と女の子」の物語である。主題を明瞭にするため、「母と男の子」の物語は慎重に排除されている。姉妹の兄の「和ちゃん」は谷川岳で死んだことになっ...
2018年3月10日土曜日

小津安二郎『東京暮色』_____孝子の見ているものは何か

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 『東京暮色』は徹底したリアリズムの映画でありながら、同時に完璧なドラマである。  冒頭周吉がガラス格子の杉山家の玄関を入ると、三和土と廊下の間が障子戸で仕切られている。障子戸の真ん中にガラスがはめ込まれていて、玄関から入ってきた人間は家の内部(と同時にそれは観客の視線でもあ...
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