naoko_note

2019年1月15日火曜日

映画『新しき土』__シュールで奇怪な国策映画の示すもの

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 昨年末から何回もこの映画を観ているのだが、さて、何をどう書こうかと構えるとどうしてもまとまらない。いろいろと曰くのある作品である。  よくいわれるのは、この映画の制作のかげで、日独防共協定が秘密裡に締結されようとしていたということである。一九三六年十一月二十五日締結にいたる...
2018年12月19日水曜日

小津安二郎『秋刀魚の味』__軍艦マーチが奏でる「日本」の挽歌

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 「日中戦争と紀子三部作の謎」について、いつまで経ってもいっこうに解きほぐせないので、つい考えるのが億劫になってしまう。それで、大した進展はないのだが、少しだけ、また独断と偏見を書いてみたい。「紀子三部作」の一作目の『晩春』(一九四九年公開)と、小津の遺作となった『秋刀魚の味』(...
2018年12月5日水曜日

宮沢賢治『フランドン農学校の豚』__父と子そして国家

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 前回『フランドン農学校の豚』について、救済をもたらさない受難物語として読んでみた。概ねそれでいいと思うのだが、もう少し書いてみたい。この作品に限らないのだが、賢治の作品、とくに散文の中には、ときに周到に隠されているのだが、「父と子」のテーマが存在するのである。   フランド...
2018年11月28日水曜日

宮沢賢治『フランドン農学校の豚』__絶望の果ては何か

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 異様な作品である。賢治の死後に原稿が発見されたそうで、作品の冒頭部分が欠落している。『フランドン農学校』で飼育されている豚が屠られるまでの数日間を、豚の内面に入って描いた小説である。「童話」というにはあまりにも残酷で、「寓話」と呼ぶには描写がリアル過ぎる。  この豚は人間の...
2018年10月26日金曜日

山口誓子 「つきぬけて天上の紺曼珠沙華」__満洲国を巡る随想の一間奏曲

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 山口誓子という人の俳句は私にとって難解である。  冷し馬潮北さすさびしさに という句もいまもってわからない。標題の句は、「つきぬけるように澄み切った青空」、「真っ赤な曼珠沙華がすっくと立った様子」など、嘱目の光景を詠んだ句であるという解釈が多いようである。そうだろうか。...
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