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2018年6月26日火曜日

小津安二郎『晩春』の謎__紀子と周吉の永劫回帰あるいは安珍清姫を巡る幻想__蛇というモチーフ

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 『晩春』は原節子が演じる「紀子三部作」の第一作である。あまりにも有名な作品なので、改めてストーリーを紹介する必要もないだろう。父と二人暮らしで婚期を逸しかけている娘がようやく結婚する物語である。娘を思う父は、自分が再婚すると偽って、娘を結婚に追いやる。言ってみればそれだけの話で...
2018年6月10日日曜日

小津安二郎『麦秋』の謎__不思議な家族とその解体__一粒の麦地に落ちて死なずんば

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 『麦秋』は日本の家族の解体していく様を描いた小津安二郎監督の記念碑的な作品、という評価が定まっているようである。きっと、そうなのだろう。けれど、見終わってどうしても腑に落ちないものが残ってしまう。親子三世代で暮らしている一家が、その中の娘が結婚することで、なぜ両親が家を出ていか...
2018年5月14日月曜日

大佛次郎と小津安二郎の『宗方姉妹』__消された「戦争」

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 インターネットで『宗方姉妹』と検索すると、ほとんどすべて小津安二郎監督の映画がヒットする。大仏次郎の原作について書かれたものはほとんどない。一九五〇年に初版が出て、その後二社から文庫本も出ているのに、なぜかいまは忘れ去られた存在のようである。原作は一九四九年六月から十二月にかけ...
2018年4月3日火曜日

小津安二郎『秋刀魚の味』___秋刀魚の味と「秋刀魚の歌」

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 小津安二郎の映画のタイトルは不思議なものが多い。『早春』という映画のタイトルがなぜ「早春」なのか、いまだにわからない。季節は真夏のようである。蚊取り線香が焚かれる画面から真夏の熱気が伝わってこないのが不思議だが。  『秋刀魚の味』も何故このタイトルなのか、ずっとわからなかっ...
2018年3月24日土曜日

小津安二郎『東京暮色』__前稿の訂正と補筆__再び「父と子」について

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 最初の稿で、杉山周吉の家の玄関前にイチジクの鉢植えがある、としたのだが、イチジクではなくヤツデだったようである。イチジクは落葉樹なので、雪の降る季節に葉を茂らせているわけはない。「千客万来」をもたらすとされるヤツデはよく玄関前に植えられるそうなので、ヤツデの木があるるのはとくに...
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