2012年3月18日日曜日

「ド・ドーミエ=スミスの青の時代」再び___徹底的な読み直し宣言

昨日書いたように、『ナイン・ストーリーズ』と『ライ麦畑で捕まえて』は極めて密接な関係がある。一口に言ってしまえば、これらの作品はサリンジャーみずからがいうように「戦争小説」なのだ。その中で、私は「ド・ドーミエースミスの青の時代」について、完全にサリンジャーの罠に嵌まってしまっていた、と言わざるを得ない。サリンジャーがストレートな作品なんか書くはずがない。「文学は心理学でも精神分析学でも、社会学でもない」なんて、偉そうに啖呵を切っておきながら、自分はこの作品を説教小説のように読んでいたのだ。

 具体的にどう読み直すかは、その読み直した結果を、このブログで書くことができれば、そうしたいと思う。このブログを読んでくださっている方々をミスリードしてしまったのではないかと危惧している。それも、もしかしたら、サリンジャーの意図したところかもしれないが。彼は読者にいつも挑戦状をつきつけているのだ。ひとつひとつが「勝負!」なのである。

 もうひとつ、ことわっておきたいのは「対エスキモー戦争の前夜」の「フランクリン」という名前について、前回ブログに書いたときに、あえて触れなかったが、探検家の「フランクリン」以外に、当時もっと人々の意識にのぼりやすかったのは「フランクリン・ルーズベルト」である。だからあの小説は、「美女と野獣」と「北西航路探検」と「戦争」の話なのだ。「愛らしい口もと、わが眼は緑」についても、「戦争小説」として読み直さなければならない。そして、私が書かなかった「小舟のほとりで」もこのように読まなければならない。「小舟のほとりで」は、正直どう読めばいいのかわからなかった。もしかしたら、この小説が一番難しいのかもしれない。
 
 「サリンジャーについてもう何も書きたくない」なんて書いて、またすぐ書いてしまった。過ちは訂正せねば、というより私はすぐ気が変わるのです。よろしければ、これからもおつきあいください。「勝負!」と挑戦状をつきつけられたら、やっぱり勝ちたいですものね。

 今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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