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2024年5月23日木曜日

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』__カムパネルラという存在とその消失の意味するもの__「母」のゆるしと「ほんたうの幸い」

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  『銀河鉄道の夜』について、以前「ケンタウルスー牛殺しー生の軛」というタイトルで投稿した。そこで繰り広げたテーマは核心の一部をついていた、という自負はないではないが、この複雑で重層的な作品のより重要な部分を取り残してと感じるもどかしさがあって、それが何か、言葉につむぎだせにまま...
2023年12月14日木曜日

宮沢賢治『北守将軍と三人兄弟の医者』__凱旋将軍の最期

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  賢治の童話中数少ない完成された作品で、一九三一年雑誌「児童文学」に発表されたものである。この作品の初稿とみられる『三人兄弟の医者と北守将軍』という童話も活字化されていて、こちらはおそらく一九二〇年までに書かれたものだといわれている。岩波文庫版でわずか十頁の短編が、推敲を重ねら...
2023年7月30日日曜日

宮澤賢治『飢餓陣営』__国家の超克とキリスト教への接近__オペレッタで語る極限状況

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  宮澤賢治『飢餓陣営』について、いつまでも考えている。  「コミック オペレット」と注がついた一幕物の戯曲である。主人公の名をとって「バナナン大将」という題名のものが一九二二年六月に作られ、翌一九二三年五月、花巻農学校が県立となった開校式の日に上演された。賢治は当時この農学校の...
2023年3月18日土曜日

宮澤賢治『氷河鼠の毛皮』__中途半端な革命譚__タイチと黒狐、氷河鼠

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  タイチという金満家の男が、ベーリング(島?海?)をめざす列車の中で暴漢に襲われるが、船乗りの若者に救われる。稀少毛皮を外套にして幾重にも身にまとっていたことが、人だか熊だか判然としない暴漢たちに襲われた理由である。宗教学者の中沢新一は、『緑の資本主義』という著作の中でこの作品...
2022年12月18日日曜日

宮澤賢治『風の又三郎』__最後に残る二つの謎__高田三郎と宮澤賢治

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  この後の月曜日、一郎と嘉助が嵐の中登校して、三郎が転校したことを告げられる。嘉助は先生に挨拶するとすぐ、「先生、又三郎きょう來るのすか。」ときいている。先生が告げるまでもなく、もう三郎は来ないことを嘉助も一郎も知っているのだ。  九月一日に現れて、(おそらく)十一日に去って行...
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