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2019年12月2日月曜日

三島由紀夫『春の雪』_日露戦争の亡霊

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 『豊穣の海』第二作の『奔馬』についてはある程度まとまったことが書けそうな気がするのだが、『春の海』は難問である。どこまでも美しく、崇高でしかも限りなく官能的な清顕と聡子の恋、それがどのように始まって成就したか、作者の視線はこの一点にそそがれて揺るぎない。恋愛の要素であるむき出し...
2019年11月14日木曜日

三島由紀夫『春の雪』_大正デモクラシーの王朝絵巻_「みかどのめ(妻)を盗む」というモチーフ

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 『豊穣の海』四部作について、いつか書こう、書かなければならないと思いながら、ずるずると書けないまま時間が過ぎてしまった。四部作すべてを見渡して、何か三島文学の結論めいたものを引き出そうなどとだいそれたことは、もちろん考えていない。そういうことではなくて、私にとって三島由紀夫の作...
2019年8月28日水曜日

宮沢賢治『グスコーブドリの伝記』_九十年前のジオ・エンジニアリング

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 地球温暖化の議論、異常気象などここ数年地球環境の異常さが人類生存の深刻な危機として問題になっている。自然の猛威の前に文明は何をなし得るか。九十年前にその課題に挑んだ人間の軌跡として『グスコーブドリの伝記』を取り上げてみたい。  前回のブログで書いたように、この作品も相次ぐ冷...
2019年8月20日火曜日

宮沢賢治『ペンネンネン・ネネムの伝記』__ばけもの社会のMMT

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 『グスコーブドリの伝記』について調べていくうちに、『ペンネンネンネン・ネネムの伝記』という作品に出会った。『ペンネンネンネン・ネネムの伝記』と呼ばれる草稿に手を加えて完成したものが『グスコーブドリの伝記』であるとされている。たしかに、この二つの作品は、冷害と飢餓のため両親が自死...
2019年7月15日月曜日

宮沢賢治『どんぐりと山猫』__かねた一郎と黄金いろの草地

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 『どんぐりと山猫』は、私にとって謎に満ちた作品である。いつまで経っても解決の糸口さえ見いだせなくて、ここしばらく作品の周りを行ったり来たりしている。  不思議なお話はこう始まる。  おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。   かねた一郎さま 九...
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