naoko_note
2021年8月14日土曜日
三島由紀夫『天人五衰』__猫と鼠__安永透と三島由紀夫の運命
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『天人五衰』というウエルダン・ストーリーにからめとられて、相変わらず書けないままである。そうすると、いつもの妄想癖が頭をもちあげて、あれこれ支離滅裂な想念が頭の中をかけめぐり、安永透の運命は三島由紀夫のそれと一致する、あるいは一致する予定だったのではないか、という独断と偏見を...
2021年7月3日土曜日
三島由紀夫『天人五衰』__衝撃のラストの一考察__ある雪の日のエピソードの謎
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『天人五衰』をめぐって、いうべきことはたくさんあるような気がする。でも。それは、「『天人五衰』をめぐって」であって、「『天人五衰』について」とはならないのである。作品論、というほど大袈裟なものを書くつもりもないのだが、いまの段階では、私の関心がどうしても作品そのものに集中してこ...
11 件のコメント:
2021年5月27日木曜日
三島由紀夫『天人五衰』_近代的自我の崩壊とその先にあるもの_安永透の至福
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三島文学の総決算ともいうべきこの作品を前にして、いつまでも立ち止まっている。格調高く、象徴的で謎と寓意に満ちた文章は、あまりにも完璧で、つけいる隙がない。語られている内容は、十六歳の自尊心の強い少年が、金持ちの弁護士の養子となるが、最後に、自らのプライドを保つために自殺を計り、...
2021年3月19日金曜日
三司馬由紀夫『暁の寺』__認識、破壊、そして燔祭(2)__本多繁邦の欲望と孔雀明王
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昭和二十年六月、本多は、渋谷松濤の依頼人の邸宅に招かれる。渋谷近辺の光景は、一週間前、二日にわたり延べ五百機のB29が東京を焼いて、「その高臺の裾から驛までの間は、ところどころに焼きビルをした殘した新鮮な焼址で」と描写される。人間の生の営みが完膚なきまでに破壊され、蹂躙された...
2021年3月13日土曜日
三島由紀夫『暁の寺』__認識と破壊、そして燔祭(1)__本多繁邦の欲望
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『豊饒の海』第三巻は、日米戦争前夜一九四一年タイの首都バンコックを舞台に始まる。主人公は前二作でそれぞれの主人公松枝清顕、飯沼勲の同行者として登場した本多繁邦である。飯沼勲の弁護のために裁判官を辞して弁護士となった本多は、商社の仕事でバンコックを訪れる。その地で本多は、飯沼勲の...
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