naoko_note
2018年8月16日木曜日
小津安二郎『東京物語』__死の予告__「私をさびしい草原に埋めないで」
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今回はメモです。 『東京物語』で使われる曲は四つある。最初と最後はアメリカの曲で、間に挿まれて日本の歌謡曲が二曲歌われる。この二つは戦争中のもので、周吉ととみが熱海の宿で眠れない一夜を過ごす原因となる。曲は「湯の町エレジー」と「煌めく星座」で、とくに後者は延々と二番の歌詞...
2018年8月2日木曜日
小津安二郎『東京物語』__時空の揺らぎと「物語」の嘘
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『東京物語』を見ていて、どうしても気になることのひとつに、尾道_東京間の所要時間はいくらなのか、という極めて初歩的で単純な疑問がある。 冒頭周吉ととみが旅行鞄に荷物を詰めている。次女の京子が小学校に出勤する前に弁当とお茶を用意して二人に渡している。ところが、二人はすぐ出発...
2018年7月25日水曜日
小津安二郎『東京物語』__「主は冷たい土の中に」__紀子に渡された時間
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生と死、家族のあり方を描いた傑作として評価が定まっている作品である。尾道から老夫婦(妻が六八歳、夫はそれよりいくらか年上か)が上京する。長男と長女の家に滞在するが、それぞれの生活の都合があって、結局義理の娘(亡くなった次男の嫁)の世話になる。帰りの列車の中で具合が悪くなった妻は...
2018年7月9日月曜日
小津安二郎『晩春』の謎__Z、コカコーラ、三つの林檎
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前回「紀子と周吉の永劫回帰」の最後に、「Z」はなかった、と書いたが、実は最後に「Z」が登場するのである。紀子と周吉の婚前旅行の旅館で二人が帰り支度をしている。紀子がストッキングをぐるりと束ねて仕舞っている。周吉は旅先に持参した本を鞄に入れている。最後に周吉が手に取ったのが「Al...
2018年6月26日火曜日
小津安二郎『晩春』の謎__紀子と周吉の永劫回帰あるいは安珍清姫を巡る幻想__蛇というモチーフ
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『晩春』は原節子が演じる「紀子三部作」の第一作である。あまりにも有名な作品なので、改めてストーリーを紹介する必要もないだろう。父と二人暮らしで婚期を逸しかけている娘がようやく結婚する物語である。娘を思う父は、自分が再婚すると偽って、娘を結婚に追いやる。言ってみればそれだけの話で...
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