naoko_note
2015年11月9日月曜日
大江健三郎『水死』__ウナイコという戦略__『みずから我が涙ぬぐいたまう日』を読み替える
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『水死』は不思議な小説である。主人公は誰か?大江健三郎は何故この小説を書いたのか? 十七歳の少女が強姦され堕胎をさせられる。十七年後女優になった彼女は強姦した男に復讐する。物語の縦糸はこれである。縦糸に絡む横糸として、作家長江古義人の「水死小説」がある。縦糸と横糸で織り成...
2015年10月10日土曜日
夏目漱石『こゝろ』__いくつかの不思議の妄想的分析その2__「自白」が守った「純白の記憶」
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渡部直己氏も触れていることだが、『こゝろ』の中には、登場人物が心中を吐露する文脈で「自白」という言葉が多用されている。上巻「先生と私」では二箇所だが、下巻「先生の遺書」では十六箇所、計十八箇所で使用され、後半に頻出する。これが作者の無自覚な用法でない証拠には、「告白」という言葉...
2015年9月28日月曜日
夏目漱石『こゝろ』___いくつかの不思議の妄想的分析その1___「私」は誰でしょう
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大江健三郎の「『水死』を読んでいて、作中重要な要素として引用される漱石の『こゝろ』を読まなければいけないと思った。大江が『こゝろ』を漱石の意図通りに引用しているわけではないのはいうまでもない。むしろ『こゝろ』をどのように戦略的に利用しているのか、が知りたかったのだ。読んでみて、...
2015年8月20日木曜日
大江健三郎『﨟たしアナベル・リィ総毛立ちつ身まかりつ』__「﨟たし」と「らうたし」のはざまに
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これは「M計画」というプロジェクトにかかわったサクラさんという国際的な映画女優と作家の「私」、そして「私」の東大の同期生で敏腕プロデュサーの「木守有(こもりたもつ)」の物語である。表題の「﨟たしアナベル・リー総毛立ちつ身まかりつ」とは、特異な人生を生きたサクラさんを、エドガー・...
2015年7月8日水曜日
陰謀論で読む大江健三郎『さようなら、私の本よ!』__大江健三郎とは何か__「ミシマ問題」から炙りだされるもの
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大江健三郎の作品はどれも難解なのだが、それは、一部に言われているような文章のわかりにくさ、というような次元の問題ではない。ストーリーの起承転結が不自然で納得できない、というわけでもない。読んでいるときは立ち止まることもなく、すらすら進んで結末までいって、最後の大江節に単純な感動...
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